木工房じゅん(Craft Jun)

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柿渋

布染めされる方以外は、柿渋のことを知らない方多いのではないでしょうか。
当方は5-6年前、食器関連の作品に防水性および抗菌性を付与できる安全な塗料を探しているときに、初めて知りました。

今回、カッティングボードの木口と木端、特に木口に耐菌性を付与するため=長持ちさせるためにカッティング専用オイルの下塗りとして柿渋を塗ってみました。
数年前に、柿渋の抗菌性を利用するためにカッティングボードの表面と側面に塗布して、確認試験をしたことがあります。
厳密な科学的比較試験は出来ないのですが、当然ながら、表面は包丁によって刻まれるので、まだら模様になりました。木口部の雑菌発生は少ないようでした。手間かけて塗布した割には、その効果を実感できませんでした。

柿渋は紫外線にさらされると。赤味を帯びた色合いに変化してきます。
1ヶ月位では、その変化に気づきにくいのですが、半年ごとではその変化がわかるようです。

色合いの変化がおもしろいし、日本古来からの安全な抗菌性をもった塗料なので、使っていきたいのですが、次の問題点があり、なかなか、作品に応用できないのが現状です。

《問題点》
①柿渋には水分が多く含まれるので、塗布乾燥後、木材が毛羽立ち、その毛羽立ちをサンドペーパーで取り除くのが容易でない。箱物などの特に内側の隅が難しい。

②塗る方法は、柿渋原液を2,3倍に薄めて、2-3回塗布です。塗布回数が多い程に濃い色合いに変化します。これが問題なのです。
塗布した直後には、ほんのわずかしか着色しませんし、割とすぐに乾燥します。作品の大きさにもよりますが、最初に塗った箇所がはっきりしないので、未塗装だと思った部分を塗ります。半日程乾燥後、2回目の塗布を行いますが、この時初めて、2回塗りした部分があることに気づきます。何度塗っても、違いが解消されないようです。

③上記と同じことなのですが、作品に一部わずかでも油分が付着していると、その部分は色合いが薄くなってしまいます。これも、乾燥後初めてわかることです。

④塗布後の乾燥中、材料の皮膜内部の空気が膨張して、泡を吹きます。都度、この泡を取り除く=拭き取る 必要があります。
乾燥中に他の仕事をしてちょっと油断していると、乾燥してしまい、泡の部分が白く残ります。この泡はオイル仕上げでも発生しますが、木工用植物オイルでは、乾燥時間が半日から2日程と長く、乾燥途中に余分のオイルを除去する作業もあり、跡になることはほとんどありませんし、目立ちません。

⑤保存が難しいです。日の当たらない涼しい床下に保管していたのですが、1年未満で固まってしまいます。固まりそうになったら、汲み置きした水道水を加えてやると、良いそうです。

*柿渋独特の臭いの気になる方が多いようですが、1回当たりの使用量が少ないこともあって、当方はさほど、気になりませんでした。
お風呂場の壁・天井を柿渋塗布された方の話では、臭いがすごかったと聞き及んでいます。無臭柿渋もあります。

ウィキペディアには次のように記載されています。

歴史
・文献で最初に記載されているのは10世紀頃 漆の下塗りに使用された
・衣類に使用したのは、平安時代の下級の侍が着ていた柿衣
・民間薬として、火傷や霜焼、血圧降下や解毒などに効くとして盛んに利用された

製法
・まだ青い未熟果を収穫し、突き臼や粉砕機で砕き、樽の中に貯蔵して2昼夜ほど発酵させる。これを圧搾して「生渋」を得る
・液体を数年間保存して熟成させた後、使用することが多い

用途
・カキタンニンには防腐作用があるため、即身仏に塗布したり、水中で用いる魚網や釣り糸の防腐と、強度を増すために古くから用いられてきた。
・木工品や木材建築の塗装の下地塗り
・紙に塗って乾燥させると硬く頑丈になり防水機能も有するようになるため、かつてはうちわや傘、紙衣の材料として用いられ、現在でも染色の型紙などの紙工芸の素材としても重要である。
・タンニンが水溶性タンパク質と結合して沈殿を生じる性質清酒の清澄剤として利用されており、今日ではこの用途で最も多く用いられている。
シックハウス症状を起こさない塗料として再評価されつつある。
・除菌効果のある布地を利用して山野の汚染の少ない良質な河川や井戸の水を漉して飲用にも利用した。
NHK,2010年09月27日)によれば、島本整(広島大学大学院生物圏科学研究科・食品衛生学研究室)の研究成果によって、ノロウイルスなどに抗菌作用が認められる[2]とされ、柿渋の除菌スプレーなどの応用製品が販売されている。

下記の写真は左=柿渋未塗装(通常のオイルフィニッシュ)と右=柿渋下塗り柿渋+上塗りオイル塗装品3年後です。材料はいずれもイエローシダーです。
3年たつと随分赤く(赤茶)変化しています。イエローシダーとは思えません。
柿渋未塗装 柿渋塗装3年後